考え方

うまくいった経験を回し続けるテクニック

2026-07-07 公開執筆: 古谷幸治(株式会社プロジェクト・イノベーション 代表取締役CEO)

「なぜかうまくいった」を放置せず言語化することが、人脈術を再現可能なスキルに変える一番の近道です。うまくいった商談や紹介があったら、①誰がきっかけだったか、②どんな会話や行動が転機になったか、③その後どうフォローしたか、を簡単にメモしておきましょう。多くの人はうまくいった時ほど「運が良かった」で片付けてしまい、せっかくの再現可能なパターンを取りこぼしています。

振り返りを続けると、自分なりの「勝ちパターン」が見えてきます。特定の紹介経路や、特定のタイプの人との相性が良いといった傾向が分かれば、次のアプローチの精度も上がります。例えば「同業種より異業種からの紹介の方が成約率が高い」といった気づきは、実際に記録を積み重ねなければ決して見えてきません。

振り返りは成功例だけでなく、うまくいかなかった例とセットで行うとさらに効果的です。「なぜあの時は紹介に至らなかったのか」を並べて比較することで、自分の勝ちパターンの輪郭がより鮮明になります。感覚だけに頼った振り返りは記憶の美化が入りやすいため、記録に基づいた振り返りの方が精度が高くなります。

勝ちパターンが見えてきたら、それを次回の行動に落とし込む「仮説」に変えることが最後の仕上げです。「次はこの経路で紹介を依頼してみよう」「このタイプの相手にはこのアプローチを試そう」と具体的な行動レベルまで落とし込むことで、初めて再現性のあるスキルとして定着します。

振り返りを一人で行うだけでなく、信頼できる同僚や仲間に話してみることもおすすめです。自分では当たり前だと思っていた行動が、他人から見ると実は特別な工夫だった、という発見は珍しくありません。人脈術における勝ちパターンは、自分の中に眠っていることが多く、言語化して初めて他人にも自分にも見える形になります。

勝ちパターンは一度見つけたら固定するのではなく、定期的にアップデートする前提で扱うことも大切です。環境や自分の立場が変われば、以前は効いていたアプローチが通用しなくなることもあります。振り返りを一度きりのイベントではなく、継続的な習慣にすることで、時代や状況の変化にも対応できる人脈術が育っていきます。

振り返りの頻度は、月に一度など決まったタイミングを設けるのがお勧めです。都度振り返るだけでは全体の傾向を見失いがちですが、定期的にまとめて振り返る時間を確保することで、個別の出来事では見えなかった共通パターンが浮かび上がってきます。忙しい時こそ、この振り返りの時間を意図的に確保する価値があります。

勝ちパターンの言語化は、自分自身のためだけでなく、後進やチームメンバーに伝える資産にもなります。自分が試行錯誤して見つけた紹介の型やアプローチの工夫を、言葉にして共有できれば、周囲の人の成長速度も上げることができます。個人のノウハウを組織の資産に変えるという意味でも、振り返りの言語化には大きな価値があります。

うまくいったことを振り返る際は、結果だけでなく「なぜその行動を取ろうと思ったのか」という意思決定の過程まで掘り下げることが重要です。行動の結果だけを記録しても、次に似た状況に出会った時に同じ判断ができるとは限りません。判断に至った思考プロセスまで言語化しておくことで、真に再現性のあるスキルへと昇華させることができます。

振り返りの精度を上げるには、記録のフォーマットを一定にしておくことも効果的です。毎回異なる書き方でメモをすると、後から見返した時に比較がしづらくなります。「誰が」「どんな行動が」「どんな結果に」という共通の型を決めておくことで、蓄積されたデータから傾向を見つけ出しやすくなります。

「人脈の森」のコンタクト履歴・タグ・紹介ログは、この振り返りのための記録装置です。人脈ダッシュボード判定レポートで定期的に全体傾向を眺めるのも、勝ちパターン発見の近道です。

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